夏だからこそ始めたい、疼痛改善とダイエットの関係
夏の訪れとともに、薄着になる機会が増え、体型を意識する方が多くなります。ダイエットを始めようとする動機の多くは見た目の変化かもしれませんが、実は体重のコントロールが慢性的な痛みの改善にも深く関わっていることをご存じでしょうか。
特に膝や腰、股関節の痛みは、体重の増加が関節への負担を増やすことで悪化する傾向があります。体重が1kg増えると、歩行時に膝には約3倍、階段では約6倍の負荷がかかるといわれています。つまり、たった5kgの増加で膝への負担は15〜30kg分も増すことになるのです。関節痛や腰痛でお悩みの方にとって、体重の適正化は治療の一環ともいえるでしょう。
この点において、夏はダイエットを始めるには最適な季節です。気温が高いため代謝が上がりやすく、汗もかきやすくなります。また、屋外でのウォーキングや軽い運動がしやすく、食欲が自然と落ちやすい季節でもあります。
ただし、無理な食事制限や急激な運動は逆効果です。過度な負荷はかえって痛みを悪化させることがあり、リバウンドや筋力低下の原因にもなります。重要なのは、「筋肉を維持・強化しながら体脂肪を減らす」こと。とくに体幹や下肢の筋肉を意識的に鍛えることで、関節や背骨の安定性が増し、疼痛の改善につながります。
医療機関やフィットネス施設によっては、理学療法士やトレーナーによる痛みに配慮した運動指導やダイエットプログラムを提供しているところもあります。ご自身の身体の状態に合わせて、専門家のサポートを受けながら安全に進めることが望ましいでしょう。
見た目だけでなく、「痛みのない快適な身体づくり」という観点からも、この夏をきっかけにライフスタイルを見直してみませんか?ダイエットは、単なる体重減少ではなく、「痛みの予防と改善を促す医療的アプローチ」にもつながるのです。