皆様、こんにちは

理学療法士の藤井あゆみです。Skyt GYM がオープンし、少しずつ肌寒くなってきました。これから皆様には健康やトレーニングにおける知識などをコラムにてお伝えしていけたらと思います！今回は、季節の変わり目に風邪を引く方が増加しているためトレーニングと免疫力向上についてお話しさせていただきます。

運動は体力の向上や筋肉の強化だけでなく、免疫力の強化にも寄与することが多くの研究で示されています。特に、適度な運動は風邪やインフルエンザなどの感染症のリスクを軽減し、日常の健康維持に大きな役割を果たします。本コラムでは、トレーニングと免疫力の関係について、メディカルな観点からわかりやすく解説します。

1. 適度な運動が免疫力を高める仕組み

免疫システムは、体内に侵入するウイルスや細菌などの病原体と戦う役割を担っており、私たちの健康を守る重要なシステムです。この免疫システムの機能を高める方法の一つとして、「適度な運動」が効果的であることが分かっています。

運動を行うと、血液循環が促進され、体内の白血球やリンパ球が活発になります。これにより、病原体と戦うための免疫細胞が体内をより効率的に巡回し、ウイルスや細菌を早期に発見・排除できる可能性が高まります。特に、30分から60分の中程度の有酸素運動（例：ウォーキングやジョギング）は、免疫細胞の活性化に寄与し、免疫力を向上させるとされています。

2. 運動後の免疫機能の変化

運動後には、一時的に免疫機能が高まる「オープンウィンドウ効果」という現象が見られます。運動中に活性化された免疫細胞が短期間ですが増加し、その結果、体内の病原体に対する防御力が強化されます。

しかし、過度な運動や長時間の激しいトレーニングは、免疫システムを逆に弱らせることがあります。マラソンやトライアスロンなどの高強度運動を数時間続けると、体は一時的に免疫抑制状態に陥ることが知られています。これは体が過度のストレスにさらされ、免疫細胞の働きが低下するためです。このため、アスリートや運動を習慣的に行っている人は、過剰な運動後に風邪を引きやすくなることがあるのです。

3. ストレスと免疫力の関係

運動には、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌をコントロールする効果もあります。慢性的なストレスはコルチゾールの分泌を増加させ、免疫細胞の働きを抑制するため、ストレスを軽減することが免疫力の向上には不可欠です。

適度な運動は、コルチゾールの過剰な分泌を抑え、心身のリラクゼーションを促進します。さらに、運動後には「幸福ホルモン」と呼ばれるエンドルフィンや、気分を高揚させるセロトニンが分泌され、メンタル面でもプラスの影響を与えます。このように、運動はストレスを軽減し、結果的に免疫システムを強化するため、風邪や感染症に対する抵抗力が高まるのです。

4. 運動習慣と感染症リスクの低下

適度な運動習慣がある人は、風邪やインフルエンザの発症率が低いことが多くの研究で示されています。米国で行われたある調査では、週に5日以上の中程度の運動を行っている人は、そうでない人に比べて風邪をひくリスクが約50%低いという結果が報告されています。

また、感染症にかかった場合でも、運動をしている人は症状が軽く、回復が早い傾向にあるとされています。これは、運動が体内の抗酸化作用や抗炎症反応を促進し、病気に対する回復力を高めるためです。

5. バランスが重要：過度な運動は逆効果

免疫力を高めるためには、適度な運動が重要です。しかし、オーバートレーニングや過度の疲労は免疫機能を低下させ、逆に感染症にかかりやすくなります。激しい運動後は、体をしっかりと休め、栄養を補給することが重要です。特にビタミンCやD、亜鉛などの免疫をサポートする栄養素を含む食事を心がけましょう。

まとめ

運動は、筋力を鍛えるだけでなく、免疫力の向上にも大きな影響を与えます。適度な運動は、免疫細胞を活性化し、風邪や感染症に対する抵抗力を高め、ストレスを軽減することができます。しかし、過度な運動や休息不足は逆に免疫力を低下させるため、バランスの取れたトレーニングと休息が必要です。

風邪や感染症が流行する季節には、適切な運動を取り入れて、健康的な体を維持しましょう。免疫力を高めるトレーニングとバランスの取れた生活習慣が、風邪や感染症からあなたを守ってくれるはずです。